今回もフロントローを独占した2台のBMW Z4がスタートから勢い良く飛び出していったST-1クラス。ポールスタートの50号車・柳田真孝選手と、2番手スタートの28号車・谷口信輝選手はチームメイト同士ながら接近戦を展開、頻繁に順位を入れ替えてファンを魅了する。
一方、今季これまでBMW勢に対して完敗が続いたフェアレディZだが、今回から性能調整が施されたこともあって、大きく引き離されることなく1号車「ENDLESS
ADVAN Z」が3位、10号車「Cenote ADVAN Z」が4番手で周回を重ねていく。
実は1号車は終盤にタイヤ無交換作戦に打って出て、逆転を目論んでいた。しかし37周目、そんな1号車にシフトリンケージ破損というトラブルが襲いかかりマシンはガレージへ。修復叶って戦列には復帰したものの本来のパフォーマンスとはほど通り走りを強いられることになってしまった。
そんな1号車を尻目に2台のBMW Z4は完璧なレース展開。
途中導入されたセーフティカーによる影響もほとんど無く、50号車と28号車は終盤にも接近戦を繰り広げて観戦に訪れたファンを喜ばせる。
結果、開幕から連勝街道を突き進んでいた28号車に「待った」をかけたのは同じBMW
Z4の50号車となり、ファリーク・ハイルマン選手/柳田真孝選手組がBMW Z4での参戦開始から10戦目にして嬉しい初優勝を勝ち取った。
28号車も準優勝を獲得、1号車が5位に沈んだためにシリーズランキング争いは28号車がリードを拡げて十勝24時間レースに臨むこととなった。
ST-2クラスは、まさしく"生き残り"を賭けてのサバイバルレースとなった。
土曜日の公式予選でポールポジションを獲得したのは6号車「DIXCEL☆新菱オートEVO
IX MR」。開幕戦から堂々の三戦連続ポール獲得である。一方、ミッショントラブルでBドライバー予選を走行出来なかったのが13号車「ENDLESS
ADVAN CS・X」。こちらは全参加車両中の最後尾グリッドから決勝スタートを迎えた。
決勝がスタートして好ダッシュを見せたのはランキングリーダーの11号車「オーリンズ・ランサーEVO
X」。燃料搭載量を減らして序盤でトップを奪いマージンを稼ぐ作戦に出た11号車としては作戦通りにトップに立ったが、5周目にコースオフから下回りを破損、部品脱落の恐れがあるためにオレンジディスク旗が提示されてピットイン、戦線から脱落を余儀なくされる。
また7周目には37号車「シーケンシャルエンドレスアドバンランサー」もトラブルでコースサイドにマシンを停めていた。
1時間を過ぎて1回目のピットインが終わってからは6号車と20号車が激しいトップ争い。2時間の折り返しを過ぎてまもなくセーフティカーが導入、解除直後から接戦を展開する。しかしなんと両者は接触をしてしまい、6号車はオイルクーラー破損などが響いてリタイア。
上位陣が次々に姿を消す中で存在感を高めていったのが56号車「眠眠打破ランサー」。今季はAドライバーに服部尚貴選手を迎えてチーム力の強化を図ってきたラリーアートPIT京都、悲願の初優勝に誰もが期待を寄せていく。
そしてその対抗馬となったのが最後尾スタートを強いられていた13号車。粘り強い走りで戦列を脱落していくライバルを尻目にトップ争いの一角にまで上り詰めていた。
終盤、ピット作業の関係で13号車が先行するも、56号車・服部選手が猛追。延々と両者の接戦が続き、遂に服部選手が前に出て初優勝に一歩近づく。
チェッカーまでのカウントダウンが進む。残り10分・・・、9分・・・、そして8分を切ったその時、56号車にまさかのブレーキトラブルが襲いかかって単独クラッシュ、モニターにはコースサイドで無残な姿になった56号車が映し出された。
過酷なサバイバルを制したのは最後尾からスタートした13号車「ENDLESS ADVAN
CS・X」。2位には「エンドレスアドバンウェッズランサー」、3位は「RSオガワADVANランサー」となった。
今季のスーパー耐久で"最激戦区"と言えるのがST-3クラス。
元々、参戦車種が豊富であることから激戦区であり続けてきたのだが、今季は特に上位陣が繰り広げる激しい接近戦から目を離せない展開が続いている。
土曜日の公式予選でポールを獲得したのは39号車「TRACY SPORTS eeiA NSX」。2番手は333号車「エクセディH.I.S.イングスZ」、3番手に27号車「FINA
ADVAN M3」がつける展開で、この3台による接戦にまずは期待が高まるスターティンググリッドとなった。
決勝がスタートすると39号車のペースが思うように伸びない一方、5周目に27号車がトップを奪い、333号車はその翌周に2番手のポジションに立つ。
しかし1回目のピットを終えて一気に頭角を現してきたのが113号車「UNT Racing☆ings
Z」。なんとドライバー交代はおろか、タイヤすら一切交換せずに、事実上燃料補給のみで2スティント目に突入するという作戦に打って出たのである。
このピット停車時間短縮は効果抜群、、、のはずであった。
レースが2時間の折り返しを迎えるころ、コース上に左前のリムが脱落して三輪状態となったST-2クラスマシンが現れるまでは。
このマシンがコース上に部品を散乱させたためセーフティカーが導入されたことで、113号車が得たマージンは一気に吐き出されたのである。
それどころかセーフティカー導入中にロスタイムを最小限に抑えてピットインしたライバルはフレッシュタイヤを装着して追い上げ体制を整えたのだから113号車には堪らないアンラッキーな展開。
セーフティカー解除後、後半のレースは333号車がリード、これを27号車が猛追するという前戦までと同様の展開となった。
三度目の正直で優勝を勝ち取りたい27号車・小林且雄選手の猛追、対して逃げきりを図って三連勝を飾りたい333号車・前嶋秀司選手の走りが、富士でも観客を魅了。
最後は27号車が無念のステアリングトラブルでペースを上げられず、333号車が開幕三連勝を飾って十勝24時間を迎えることとなった。
ST-4クラスはエントリーリストが発表された時点で、その勝負の行方が注目を集めていた。
前戦・仙台を欠場した51号車「AGY ings インテグラ」の復帰、そしてニューフェイス31号車「J-wave
エンドレス YH DC5」の登場。もっと具体的に言えば51号車の黒木健次選手、31号車の渡辺明選手、両ベテランの造り上げたマシン、そしてレース展開の駆け引きなど"通好み"の見どころ満載となった。
果たして戦いが始まってみると、やはりこの両者を上位争いの軸にしてレースは展開していく。
51号車がリード、テール・トゥ・ノーズ状態に持ち込んだ31号車が逆転の機会を伺いながら重ねて行ったが、耐久レースらしい展開がこの後、両者の明暗を分けることになる。
それがレース中盤に導入されたセーフティカー。
この導入タイミングは31号車がピットインを終えた直後、対して51号車はセーフティカーランの間にピットインを済ませられたので、ここで51号車は大きな差をつけることに成功した。
対する31号車は必死の挽回を試みるも、最終的には他車との接触によってリタイアを喫するという悔しい結果に終わってしまった。
そして2位に躍進を遂げてチェッカーを受けたのは67号車「Racing Modulo ADVAN
Type R」。前倒しで投入された新しいエアロパーツも強力な武器となってラップタイムが向上、2位表彰台を獲得してシリーズランキングでも51号車を僅差で追うかたちで十勝24時間を迎える。