開幕戦では初優勝を飾ったBMW Z4M COUPEだが、今回もその速さは衰えることが無かった。むしろ一層速さと強さに磨きがかけられたことを実証する結果となった。
予選では2台の「PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE」がフロントローを独占。開幕戦をD1グランプリ参戦のために欠場した谷口信輝選手、そして開幕戦で優勝を飾った片岡龍也選手がともにコースレコードを更新してポールポジションを獲得。50号車も柳田真孝選手がレコード更新となるタイムで2番手につけた。
12時40分にグリーンランプが点灯、戦いの幕が開けると2台のBMWは早々に後続を引き離しワン・ツー体制を強固なものにしていく。
途中、バックマーカーの処理でペースが遅れた28号車を50号車がかわしてトップに立った場面もあったが、その後再び28がトップを奪うと、1回目のピットストップで片岡選手から谷口選手に交代。
2回目のピットストップではドライバー交代を行わず谷口選手が連続でドライブ、28号車が開幕二連勝を飾った。また50号車がこれに続いてワン・ツー・フィニッシュ。なんと2台のBMWは他の全車を周回遅れにして、フェアレディZやポルシェといった同じST-1クラス勢をも全く寄せつけない速さ、そしてノートラブルで完走したことで強さも見せつけた。
ちなみにこの日は谷口選手の誕生日。片岡選手も5月1日生まれということで表彰台にはケーキがふたつ用意されてバースディ・ウィンが祝われた。とは言っても"お約束"の展開となり、表彰台はケーキが飛び交う"修羅場"にもなっていたが・・・。
ST-2クラスは今回も6号車「DIXCEL☆新菱オートEVO IX」が開幕戦に続いてポールポジションを獲得。11号車「オーリンズ・ランサーEVO
X」がこれに続き、開幕戦では"幻"となったエボX初優勝を目指す。
レースがスタートすると1周目で早くもオーリンズエボの中谷明彦選手が前に出てトップの座を手中におさめる。
そこから中谷選手はさらにペースアップ、ライバル勢を寄せつけない走りでマージンを拡げていく。
一方、チーム初優勝を狙う新菱オートEVO、さらに開幕二連勝を狙う37号車「シーケンシャルエンドレスアドバンランサー」にはアンラッキーなマシントラブルが襲いかかってオーリンズエボを追撃することを許されなかった。
オーリンズエボは1回目のピットで中谷選手から木下隆之選手に交代、引き続いてハイペースでの周回を重ねて2回目のピットイン。ここではそのまま木下隆之選手がステアリングを握っていたが、ピットインのタイミング的に3回ピットストップ作戦を実行に移したのは明白だった。
つまり燃費的にもう1回のピットインを行うオーリンズに対し、スタンダードな2回ピットストップで逆転のチャンスを得ていたのは20号車「RSオガワADVANランサー」。いよいよ注目のオーリンズが3回目のピットイン、その時の両者の差は微妙なもので、まさに"ピット勝負"となった。
結果、オーリンズはオガワランサーよりも前でコースに復帰、一時的にオガワランサーが差を詰めたものの、再びステアリングを握った中谷選手がオガワランサーの逆転を許さず。
デビュー2戦目にしてランサーエボリューションXが初優勝を飾り、2位には地元・東北のRSオガワ、そして3位には開幕戦と同じく13号車「ENDLESS
ADVAN CS・Z」が入って今回も2台のエボリューションXがともに表彰台に昇った。
終盤、言葉どおり「手に汗握る」デッドヒートを展開してくれたのがST-3クラス。最後の10周はチェッカーが振られるその瞬間まで、誰一人として壮絶なバトルから目を離すことが出来なかったことだろう。
土曜日のBドライバー予選で豪雨によるコースコンディションが急変する前に、巧くタイミングを捕らえてベストラップを刻むことに成功した27号車「FINA
ADVAN M3」を筆頭に迎えた500kmの決勝レース。
これを333号車「エクセディH.I.S.イングスZ」、そして39号車「TRACY SPORTS
eeiA NSX」が追う、開幕戦同様に三つ巴の展開となる。
この混戦からまず抜け出したのはTRACY NSX。ピットストップ時間を短縮する作戦が功を奏してトップに立つと、2スティント連続で走る井入宏之選手がマージンを稼いでいく。
しかしマシンにステアリングトラブルが発生、2回目のピットインで赤鮫オヤジに交代した後は症状も悪化してペースを上げられない苦しい展開に。
そんなTRACY NSXを遂にエクセディZが逆転、こちらは1回目のピットインで前嶋秀司選手からステアリングを託された佐々木雅弘選手が2スティント連続走行となっている。
このまま二連勝かと思われ始めた頃にFINA M3が2回目のピットイン、ドライバーズシートには小林且雄選手がついた。
ここから小林選手が怒濤の追い上げを見せて、あれよあれよという間にエクセディZを射程圏内に捕らえた。ヘッドライトを点灯したM3はZの背後にピタリとつけて、激しくプレッシャーをかけていく。
前をいく佐々木選手はレースデビューから11年目、昨年からスーパー耐久に参戦を始めた32歳。対する小林選手は全日本ダートトライアルの王者から1990年にレースへ転向、SUPER
GTでも活躍を見せた47歳。
こうした接戦でのテクニックは小林選手が一枚上手かと思われたが、佐々木選手も巧みに防戦。バックマーカーの処理や後方からやってくるST-1クラス車両を先行させるシーンなどでは小林選手の逆転を許さず、そのままエクセディZが今季二回目のウィニングチェッカーを受けた。
ST-4クラスは開幕戦で表彰台を獲得した、それも優勝と準優勝のチームが第2戦には不参加という珍しいエントリー内容で戦いを迎えることとなった。
当然、シリーズチャンピオン争いにおいて、他のチームにとってはこれ以上ないチャンスなだけに、その優勝争いは熾烈を極めると予想された。
そして蓋を開けてみれば、優勝争いの主役はシビック・タイプRだった。
予選でクラスポールポジションを獲得している76号車「Racing Modulo ADVAN TYpe
R」にとって、ここ仙台は昨年デビューウィンを飾った地。昨年の豪雨に対して今年は快晴の下での戦いだが、他のシビック勢よりも1年早いデビューで熟成を重ねているだけに好調な走りでレース序盤をリードしていく。
しかし69号車「J'S RACING CIVIC ADVAN」がModulo Type Rの独走を許さなかった。
レースはまさに2台のガチンコ勝負となっていくが、ピットインで勝負は明暗を分けることとなった。
仙台ハイランドはピットのスパンが狭く、自チームのガレージ前のピットロードも限られたスペースしか無いロケーションとなる。
そしてModulo Type Rのピットイン時、近くのピットに陣取るチームとタイミングが重なってしまったことからタイムロスを喫してしまったのである。
これで先行していたJ'S CIVICがレースを優位に展開する格好となり、そのままModulo
Type Rの反撃を許さずにチェッカー。
今季のシビック勢初優勝を、梅本淳一選手/久保田英雄選手が駆る「J'S RACING
CIVIC ADVAN」が獲得、シリーズランキング争いでトップに立つことに成功した。